映画【TOVE/トーベ】考察・ネタバレ / ムーニンのルーツは彼女の人生
ムーミンのルーツは彼女の恋愛…?自由に生きよう!
『TOVE/トーベ』(2020年)は、世界中で愛されるムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンにスポットライトを当てた映画です。舞台は1944年、フィンランドのヘルシンから始まります。激しい戦果の中、トーベはムーミンを描き始めます。彼女の人生は舞台演出家のヴィヴィカと出会うことで大きく変わっていく…。
この映画はフィンランドとスウェーデンでの合作作品で、第93回アカデミー賞国際長編映画賞フィンランド代表へ選出されるほど注目度が高い作品です。
ムーミンの作者トーベはどのような人物でどのような人生を送ったのでしょうか?この映画はムーミンの誕生を彼女の人生から描いた作品です。ムーミンに出てくるキャラクターは、彼女の人生経験からインスピレーションを多く受け作製されていることが分かります。誰しも一度はムーミンを見たことがあると思いますが、作者の人生を通してムーミンを見るとまた違う角度からムーミンを楽しめるようになる映画でした。この映画は2021年10月1日ロードショーです。是非劇場へ!
@Filmarksオンライン試写会で先行視聴(2021/9/22)
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ネタバレあり!感想・考察
”大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかっていることだよ。---スナフキン(『ムーミン谷の夏祭り』より)”というキャッチコピーのように、ラストシーンで回想している通り、トーベは自分のやりたいことを貫き通して漫画家だけでなく、幅広く活躍していたとのことです。トーベのやりたいことに対する心情や葛藤を下記の観点から読み解いていきます。
ダンスとトーベの心情
この映画はダンス・音楽・タバコ・お酒が印象的でしたが、ダンスの観点からトーベの心情を考えます。印象的な冒頭のダンスシーン(=ヴェルタネンから2度めのプロポーズを受けた後のシーン)や、ヴィヴィカがフランスから踊り子と一緒に帰ってきたあとのパーティーなど、トーベが複雑な感情を抱いているときに激しいダンスを踊っています。とりわけ、”怒り”を表すときにダンスをしています。
ムーミンのモデルはトーベであり、ムーミンの性格を聞かれたときにトーベは「ムーミンは不安で臆病。愛を一番大事にしていて、愛を奪われると怒る」と言っています。ヴィヴィカの帰国パーティーシーンでは、ヴィヴィカに自分の愛を蔑ろにされたことに怒り、ヴェルタネンの2度めのプロポーズを受けた後のダンスシーンは、前まで愛していたヴェルタネンへの愛までをヴィヴィカに奪われたとこに対する怒りを表現していたのではないでしょうか?
画家としてのトーベ
ムーミンの著者として成功したトーベですが、画家としてのトーベはどうだったのでしょうか?冒頭で語られている通り、トーベは画家としての成功を夢見て絵を書いています。大家さんに家賃の請求をされたときにトーベは自分の書いた絵を渡し、「私がパリで有名になったら高くなる」と言っています。
画家としての夢の中には、彫刻家として成功した父親にアーティストとして認めてもらいたい気持ちもあったのでしょう。ヴィヴィカの計らいで市庁の壁に書いた絵の感想(できばえ)を父親と母親に聞きに行ったりしています。
父親に認められる前にお別れになってしまいましたが、こっそり父親が集めていたトーベの記事や絵の切り抜きを見たトーベは号泣します。トーベは何をしたいか(漫画家、小説家、舞台美術、画家)が分からなく迷っていましたが、この切り抜きを見て一番認めていてくれていたのは父親だと知り、ラストシーンにある通り ”新たな旅立ち” として、自分のやりたいことを全てやると決意したのではないでしょうか?その一歩として、ラストシーンの人物画を書くところで映画が終了しています。
個人的総評
北欧の映画ということだけあって全体的にカラフルな色使いでおしゃれな映画になっていますね。特に1952年以前と以降(トーベがムーミンの作者として売れる前と後)で映像の感じが暗いイメージから明るいイメージに切り替わっていて、トーベの人生に合わせて変えているところなども見どころであると感じました。人のルーツや誕生だけで映画一本になると考えると、世の中に影響を与える人は偉大であるとつくづく感じます。
評価:
下にもリンク貼ってありますが、タバコが印象的な映画といえばナイト・オン・ザ・プラネットですね。まだ見ていない人は是非!
おすすめ映画
『TOVE/トーベ』
概要
題名 :TOVE/トーベ
原題 :TOVE
公開 :2021/10/1
上映時間 :103分
ジャンル :ドラマ、恋愛
公式サイト:映画『TOVE/トーベ』オフィシャルサイト
あらすじ
物語が始まるのは 1944 年のヘルシンキ。戦火の中でトーベ・ヤンソンは自分を 慰めるようにムーミンの世界を作り、爆風で窓が吹き飛んだアトリエでの暮らしを始める。型破りな彼女の生活は、彫刻家である父の厳格な教えとは相反していたが、 自分の表現と美術界の潮流との間にズレが生じていることへの葛藤、めまぐるしいパーティーや恋愛を経つつ、トーベとムーミンは共に成長していくのだった。自由を渇望するトーベは、やがて舞台演出家のヴィヴィカ・バンドレルと出会い、互いに惹 かれ合っていく。
-Filmarks あらすじより-
予告編
映画【プーと大人になった僕】考察・ネタバレ / 名言と3つのきっかけから読み解く
忙しい人に昔の自分からメッセージ
『プーと大人になった僕』(2018年)は、言わずとしれたディズニーの人気キャラクタープーさんを実写化した映画です。クリストファー・ロビン少年が小さいころ一緒に遊んでいたクマのプーとその仲間たちが、大人になった彼の前に帰ってきた!?舞台はイギリス、仕事に追われるクリストファー・ロビンは大切な物を忘れ掛けていました…。この映画はディズニー実写映画の一つで、クリストファー・ロビン役をユアン・マクレガーが演じました。仕事で忙しく頑張っている人に是非見てほしい映画です。
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ネタバレあり!感想・考察
心に残る名言ばかり
作中でクリストファー・ロビンやプーが言う言葉には、忙しく働く現代人・日本人の心に響く名言がたくさんありました。プーが風船に対して言った ”持っていると幸せ” や、クリストファーが娘のマデリンに言った ”何もしないと何も生まれない” や、最後の命題となっている ”何もしないは最高の何かにつながる” など、ふっと大切なことに気づかせてくれる素敵な言葉と感じました。今回は、クリストファー・ロビンが大切なことに気づくきっかけとなったシーンを考察していきます。
プーがクリストファー・ロビンの前に現れたきっかけは?
寄宿学校へ行ったり、戦争を経験したことによりクリストファー・ロビンは幼少期に忘れないと誓ったプー達の存在を忘れていました。プーがこちらの世界(現実)に現れたきっかけはなんなんでしょう?
まず、プーを思い出したのは、娘のマデリンが屋根裏部屋にあったクリストファー・ロビンの絵(プーが書かれている)を見つけ、クリストファーに見せたことがきっかけです。*この時点では他のキャラクター(イーヨーやティガー)などは思い出せていない(もしくは仕事に追われ考えられない)ので初めに100エーガーの森に帰ってきたときはプーさん一人であったと考えます。
その見つけた絵にプーの大好物のハチミツがかかり、何年も待っていたクリストファーの声が聞こえることで、プーの一歩踏み出す勇気が出たのだと思います。(ファンタジー)
クリストファーにとって大切なものを思い出させてくれたきっかけは?
クリストファーは、役員会議を途中で放り出してマデリンを探しに行きます。クリストファーにとって大切なものは、仕事ではなく娘(家族)であるからです。しかし序盤では、家族との旅行を仕事を理由にキャンセルします。マデリンはクリストファー同様、寄宿学校への入学が決まっており、家族として残された時間が少ないにも関わらすです。クリストファーにとって家族>仕事になったきっかけは何でしょう?
100エーガーの森はクリストファーの心や頭の中のリンクしていると考えます。仕事に対する不安や焦りが空想のズオウやヒイタチとして登場します。また、プーにコンパスを渡して森を進みますが迷ってしまいます。これは、まさに会社の指針(コンパス)に沿って進み続けているがリストラや部門閉鎖の選択に追い込まれている(迷子)様子です。
その後、そのコンパスと風船をプーと交換します。プーは汽車のシーンで風船が挟まったときに、風船を ”持っているだけで幸せ” と言っています。この交換した風船が、クリストファーにとって ”持っているだけで幸せ=最愛の娘マデリン” を示しており、代わりにコンパス(会社、仕事)を手放すことで、自分にとって大切なもの(=家族)を思い出させてくれたきっかけと考察します。
”何もしない”に対してクリストファーの考え方が変わったきっかけは?
序盤でクリストファーはマデリンに対して ”何もしないと何も生まれない” と言っていますがラストシーンでは "何もしないは最高の何かに繋がる" と言っており、”何もしない”に対する考え方が変わっています。このきっかけは作中にもある通り、たまたま掴んだ資料の三角図を ”逆転” させたことがきっかけです。
この ”逆転” は、実はティガーがあるものを ”逆転” させたことがきっかけです。終盤でズオウ=ウィンズロウ(=会社)、ヒイタチ=ジャイルズ(=支社長)であるとピグレットが言っています。クリストファーが会社と戦う時の武器は ”資料” 、森でズオウと戦う時の武器が ”風見鶏” です。クリストファーが会議室でかばんを開けると、そこには ”風見鶏” が入っていました。ティガーがこの資料と風見鶏を "逆転" させたことで、会議をすっぽかし ”何もしない” が、打開策というの ”最高の何か” に逆転しましたね。
個人的総評
久しぶりにディズニーの映画を見ましたが、心が洗われる穏やかな時間でした。最初プーさんを見たとき少しぎょっとしましたが、見ていくうちに愛着が湧いてきます。ユアン・マクレガーは人形を置いて演技しているとのことですが、ちょっと愉快ですね笑。ちなみにぬいぐるみが、Amazonでディズニーキャラクター プーと大人になった僕 リアルサイズ ぬいぐるみ くまのプーさん 高さ60cmとして販売されています!!結構リアルでいいですね。息子に買おうかな…
評価:
日本語吹き替えの声優として堺雅人さんが担当していますが、かなり賛否両論別れたらしいですね…。僕の家は字幕派なので吹き替えで見ることは無いのですが予告編はYou Tubeで見ました。うーん…笑
おすすめ映画
『プーと大人になった僕』
概要
題名 :プーと大人になった僕
公開 :2018/9/14
国 :アメリカ
上映時間 :104分
ジャンル :ドラマ
あらすじ
クリストファー・ロビンは、大人になり愛する妻と娘とロンドンで暮らし、忙しい毎日をおくっていた。 ある日、仕事のことで頭を悩ませていたクリストファー・ロビンの前に現れたのは、かつての大親友のプーだった! 大人になったクリストファー・ロビンとプーさんの奇跡の再会と、そこからはじまる新たな感動の物語。
-Filmarks あらすじより-
予告編
【図解説】ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ考察ネタバレ / これぞ秀逸な脚本
複数の物語が1つの結末へ…
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)は、主人公であるエディ、ベーコン、トム、ソープが一攫千金を狙ってギャンブルに挑むところから始まります。この映画は、イギリスを舞台に主人公たちやマフィア・チンピラが複雑に混ざり合って、思いもしないストーリがどんどん展開されていくクライム映画です。なんと言っても脚本が素晴らしい!物語は複雑ですが理解しやすく、テンポよく進んでいきます。ガイ・リッチー監督の衝撃のデビュー作で、才能を世に知らしめた作品です。しかも、この作品が発表された1998年のイギリスの年間興行成績第1位を記録しています。ブルーレイを購入するぐらい好きな映画の1つです。
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