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映画【ガタカ】感想・ネタばれ / 努力と夢で遺伝子を凌駕する

この映画を一言で

SFでこれ以上脚本が素晴らしい映画はない

こんな時におすすめ

素晴らしい映画を見たいとき
人生のお気に入り映画を見つけたいとき
SF映画はなぁ~・・・と思っているとき

概要

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題名:ガタカ
原題:Gattaca
公開:1998/5/2
国 :アメリ
上映時間:106分

あらすじ

DNA操作で生まれた"適正者"だけが優遇される近未来"不適正者"として自然出産で生まれた若者が適正者に成りすまして宇宙へ旅立とうとするが・・・。
ーFilmarks あらすじよりー

予告編

www.youtube.com

感想 -ネタばれあり-

科学が進歩したそう遠くない未来の話
公開から23年経った今でも古さを感じさせない映画。PCのモニター等は古さを感じてしまうが、ロケーションや室内の造りなどは、現在でも近未来を感じさせる。

何といっても設定が興味深い
ガタカの世界では、生まれる前(受精前)から、性別はもちろん寿命や身体能力、性格、知能、肌の色などあらゆるステータスを決めることができる。
もちろんリセマラなしで一発OKで。
遺伝子操作を受けないで生まれた子供は "神の子” と呼ばれ、生まれた瞬間に科学的差別を受ける。科学的差別は表面的には容認されていないが、当たり前になっている恐ろしい世界だ。
遺伝子至上主義が、全人類に浸透している。
生まれた瞬間に、血液検査で寿命が分かる。
街の窓口へ行けばわずか数分で、その遺伝子の優秀度を表すスコアを確認できる。

そんな世界で、遺伝子操作を受けた優秀な弟と比較され ”差別” されて生きてきたヴィンセントはある出来事をきっかけに考え方が変わる。

ある出来事とは、海でどちらが沖まで行けるかというチキンレースだ。ヴィンセントはいつも弟に負けていたが、その時は岸まで戻ることを考えずに行動通り死ぬ気で勝負した。
そこで、努力と信念が遺伝子を凌駕した

ヴィンセントは宇宙に行きたいという信念のもとに遺伝子的に優秀な人材しか働けないガタカで働くことにする。

そこでヴィンセントは、遺伝子を買う


考察1 ジェロームはなぜ遺伝子を売ることにしたのか

夢を失うだけでなく、足も失ってしまった
ジェロームは、馬並みの心臓・IQ測定不可など、体力・知力を兼ね備えた完璧な人間であったが、ジェロームは交通事故で両足がマヒしてしまった。この交通事故について作中で詳細は描かれていない。
ジェロームは、完璧な人間でありながら銀メダルしか獲得できなかった。
金メダルという夢が叶えられなかったという事実から逃れるために自殺をしようとして、自ら交通事故を起こしたのではないだろうか。
しかし生き残ってしまい足も失ってしまった。

ヴィンセントがなぜ自分の遺伝子をほしいのか知った
ガタカの世界で完璧な遺伝子は、最も価値が高いものとされており、いくら宇宙機関で働く従業員の給与で暮らせるといえど、ジェロームは、遺伝子受け取る人物についは確認していると思う。
遺伝子バイヤーにヴィンセントのことを調べてもらい、ヴィンセントの夢を知ったのではないだろうか。

③最後に分かりやすくセリフで ”俺は体を貸す代わりに夢をもらった” とある。

①②③からジェロームは、夢を見るために自分のに遺伝子を売ったのではないかと考えます。




ジェロームの協力を受け、ヴィンセントはついに採用面接を受ける。
かなり面接対策をしていたのだろう・・・
しかし面接は尿検査のみ。
このことからも、この映画の遺伝子至上主義が感じられる。


考察2 最初の面接からドクターは、ヴィンセントが不適合者だと気づいていたのか?

ヴィンセントがタイタンへ行く日の出社日。社内での殺人事件の影響で遺伝子検査方法が変わってしまい、抜き打ちの尿検査が必要になった。最後の最後で、ドクターにヴィンセントが不適合者だとばれてしまう
しかしドクターは、”息子は君のファンだ。宇宙飛行士を目指しているが、ここ(ガタカ)の基準を満たさないんだ・・・だが可能性はある。そうだろ?”
モニターの画面で不適合者のエラーを取り消す。そして
”今後のために。右利きの男は左手で持たない”と。
このシーンでドクターは驚きもせず、上のセリフを放つ。
ドクターはとっくに気づいていたのである。

ではいつから気づいていたのか・・・

面接の合否は尿検査だけで決まる
尿検査は採用面接時に実施しているが、検査の結果を聞くシーンからしか描かれていない。即採用か不採用か決まる。

②全社員に対して定期的に尿検査を実施している
会社に入ってからも定期的に尿検査を実施しているシーンがある。しかも、不正ができないように尿を出す瞬間も見る徹底ぶりだ。(ヴィンセントがどうやってすり抜けていたかは不明だが・・・)

③わざわざ利き手を変更する人はいないと考える。(習字文化がある日本じゃあるまいし)

①②からドクターは、一流企業に入社したい多くの男、大企業で働く多くの従業員尿検査風景を確認していることになる。
幾人の尿検査風景を見てきたドクターは③の人を見たときは違和感を感じるのではないか。
しかし、ヴィンセントを再検査しても不適合者の遺伝子情報が出てこない。ヴィンセントは自分の遺伝子情報を落とさないために、徹底して処理をしている。アイリーンが引っ掛かったように、ダミーの遺伝子を痕跡として残すほどだ。

このことからドクターは最後の尿検査まで確証はなかったが、確信はしており、ヴィンセントに夢を見ていたのではないか。

最高にかっこいいシーンでしたよね!ドクターかっけー!!


ドクターの助けがありヴィンセントは、念願のタイタンへ旅立つ。


考察3 なぜジェロームは自ら命を絶ったのか

ジェロームはヴィンセントがタイタンへ出発する日、自分の遺伝子採取部屋を閉め始める。ジェロームは一生分の自分の遺伝子情報物質(血液・尿・垢等)があることを告げる。ヴィンセントには旅に出ると言っていたが、その後ジェロームは自分を焼却して命を絶ってしまう

一生分の遺伝子情報物質を採取するには、前持った計画が必要
1か月やそこらじゃ手に入らない量のサンプルが冷蔵庫にびっしりあった。途中途中でジェロームが遺伝子情報物質を採取するシーンが描かれている。

②考察1から過去にもジェロームは自殺しようとしていた

③タイタン(土星の衛星)に行って帰ってきたらジェローム寿命で死んでいる?
(※ここからはただの勝手な解釈であるが、、、)
光の速さで約80分の距離にある土星にロケット(かなりはやいやつ)行って帰ってきたら、時間の進みが異なり(特殊相対性理論より)、地球ではかなり時が経ってしまい(インターステラーのように)ジェローム寿命で死んでいるのではないでしょうか?

天才的な知能があるジェロームは③に気づいており、①のように計画。②があるため、ヴィンセントに夢を見ていたジェローム人生の目的を達成(ヴィンセントが宇宙へ行く)し、金メダルをもって燃え尽きたのではないか?

※ジェロームが死ぬことで、ヴィンセントが完璧にジェロームになることを望んで、、、という考察とは違う考察を書きたかったんです・・・(笑)


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気になったこと

ウィラード・ゲイリン

映画冒頭のことば
”I not only think that we will tamper with Mother Nature, I think Mother wants us to.” ーーーWILLARD GAYLIN
「我々は母なる自然に手を加えようとするが、母もそれを望んでいると私は思う」ーーーウィラード・ゲイリン
まさに遺伝子至上主義を表す言葉ですね。

Willard Gaylin (born 1925) is Clinical Professor of Psychiatry Emeritus at Columbia College of Physicians and Surgeons and co-founder, along with Daniel Callahan, of The Hastings Center, an independent research institute focused on bioethics. Gaylin served as president of the Hastings Center from its inception, in 1969, until 1993 and as chairman of the board from 1993 to 1994. He is currently a member of the Center's board.

Willard Gaylin - Wikipedia

タイタン

ヴィンセントが旅立っていった衛星。上の考察でも触れましたが、光の速さで約80分の土星の衛星です。どんだけ遠いんだか感覚がわかないですね

タイタンは土星の第6衛星で最大の衛星である。木星の衛星であるガニメデに次いで、太陽系では2番目に大きな衛星で、よく「惑星のような衛星」としても記述される。地球の月と較べて半径は1.48倍、質量は1.8倍である。太陽系最小の惑星である水星よりも大きいが、質量はそのわずか40%しかない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3_(%E8%A1%9B%E6%98%9F)

映画のロケ地

印象に残っているのは、アイリーンとヴィンセントが最初に ”風にさらわれた” と最高にクールなセリフを言った場所です。セプルべダムというところで、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスにあるそうです。

セプルベダダムは、ロサンゼルス川沿いの冬の洪水を防ぐために設計されたダム。 1941年に完成し、費用は6,650,561ドルで、カリフォルニア州ロサンゼルスの谷の西端にある川の水源から約8マイルのサンフェルナンドバレーの中心部の南に位置している。

Sepulveda Dam - Wikipedia

最後に

今度から尿検査するときは、持ち手に気を付けよう・・・