映画【スリービルボード】考察・ネタばれ / 3人の思いと犯人の考察
郊外の3つの看板で事件の関係者達の思いが錯綜する…
『スリービルボード』(2018年)は、アメリカミズーリ州の田舎で起きた少女殺人事件をベースに物語が進んでいきます。少女を殺害された母親を中心に登場人物達の思いが錯綜し、事件の行方が思わぬ方向へ転がっていきます。最後まで手に汗握るサスペンスドラマです。第74回ベネチア国際映画祭では、脚本賞、トロント国際映画祭では観客賞、第90回アカデミー賞では主演女優賞・助演男優賞獲得しています。
最後まで展開に手に汗握り、見終わった後に考察したくなる面白さがある映画です。
ぜひご覧ください!
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ネタバレあり!感想・考察
殺人事件の犯人は?
結局映画内では、ミルドレッドの娘アンジェラを殺した犯人は明かされることなく終わってしまいます。下記の作中に登場した人物の中で犯人を考察していきます。
①レッド(広告店の男)
ディクソン巡査にボコボコにやられながらも、同じ病室になった当の加害者ディクソンに悔し涙と悲しい涙を浮かべながらも優しくオレンジジュースを上げる心優しい青年です。優男でかっこいいですね。
しかし、少し違う視点で見てみます。物語が始まってすぐ出てくるのがこの優男。彼は最初の登場シーンで、自分の広告代理店の事務員であるパメラを本を見ているふりをして凝視している(陰で内なる欲望を満たす?)。その後、ミルドレッドから広告掲載の相談を受けるが、その文章(後述)だけで、”(あなたは)アンジェラ・ヘイズのお母さん?”と質問します。この時少し違和感を感じました。いくら町で起きた事件といえど被害者のフルネームを知っている?7か月も前なのに?と思いましたが、物語が進んでいくうちに小さく且つ人との繋がりがある町であり、事件があった(焼死体)と思われる場所が自分の管理する看板の近くとなれば名前を憶えていてもおかしくはないと考えます。
②チャーリー(ミルドレッドの元DV夫)
ミルドレッドの離婚したDV夫であり、現在は19歳の動物園もしくは乗馬クラブの馬を世話している女性と付き合っています。ミルドレッドの家を訪ねた時もカッとなり手を上げる・暴言を吐くなど暴力的な人物であると推察します。さらに、ミルドレッドの広告を酔った勢いで燃やしてしまったと言っています。この”燃やす”は焼死体を暗に示しているのでは?と考えましたが、ミルドレッドとアンジェラの話をしている時は悲しい顔をして悔しがっているため、チャーリーも白と考えます。
③ウィロビー所長
町の警察署長であり2人の娘の父親。町民からも人望が厚く、すい臓がんで先が長くないことは周知の事実であり周りの人々が気にかけてくれる人物です。先が長くなく闘病生活が家族の苦になると考え、自殺を選んでしまいます。ミルドレッドが名指しでウィロビー署長を非難する広告を掲げる中での自殺となってしまったため、作中でも大きな話題を生みますが、後にウィロビーからの手紙(家族・ミルドレッド・ディクソン宛)により、広告とは無関係と明言しております。実はウィロビー署長が犯人で事実が公になる恐怖から自殺した?と考えましたが、微妙ですね。広告代を1か月分払ったり、わざわざミルドレッドに手紙を書いたりして熱いおじさんでしたね。
④ディクソン巡査
ウィロビー署長が自殺したことを知り、向かいのレッドを窓から突き落としてボコボコにしたレイシストの男。郊外をパトロール中に3つの看板が塗装されていることを発見し、理由を荒々しく問い詰めるなど、ストーリーの序盤は怠惰で横暴な警官です。しかし、ウィロビー署長の手紙で考え方を一変。アンジェラ殺害事件の捜査ファイルを炎から命がけで守ったり、怪我を負いながらもバーで男のDNAを採取するなど事件解決へ尽力します。このことから白だと考えます。(レッド殺人事件未遂で逮捕されないのはどうかと思いますが…)
⑤軍人の男(DNA鑑定された男)
結論
ラストシーン後、ミルドレッドとディクソンはどうする?
⑤の軍人の男が住んでいるアイダホへ向かっている車内の中で、ミルドレッドとディクソンが ”彼を殺すこと"に対して"あんまり"と言っています。また、ミルドレッドが警察署を燃やしたことをディクソンに打ち明けた時、あっさり”おまえ以外に誰がやる?”と言われ作中で初めてミルドレッドが笑いました。その後”道々決めればいい"と車を走らせますが、3つの看板が太陽を向いている明るいシーンが描写されています。これはミルドレッドの心(感情)を表しており、自分の罪(放火等)を認めたことで新たな一歩を踏み出せるようになったということではないでしょうか?
このことからミルドレッドとディクソンは、男を殺さず帰ってくるのでは?と考えます。
個人的総評
1つの映画でこれほど色々な考察ができるのは演出・脚本共に最高の出来の映画ではないでしょうか?どの考察が正解・不正解ではなく、様々な考え方を聞きたくなる映画であり、まだまだ隠された秘密がありそうで見ごたえのある映画でした。
評価:
最後に…
アメリカの田舎町はこんなに犯罪や暴力が横行しているのか…?と感じました。そんなことはないと思いますが。
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『スリービルボード』
概要
題名 :スリービルボード
原題 :Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
公開 :2018/2/1
国 :アメリカ/イギリス
上映時間 :115分
ジャンル :ドラマ/クライム
あらすじ
最愛の娘が殺されて既に数ヶ月が経過したにもかかわらず、犯人が逮捕される気配がないことに憤るミルドレッドは、無能な警察に抗議するために町はずれに3枚の巨大な広告板を設置する。それを不快に思う警察とミルドレッドの間の諍いが、事態を予想外の方向に向かわせる。
-Filmarks あらすじより-
予告編
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